奇跡の社員(10)
2018.09.05
飛行機が成田に着陸し、荷物をピックアップ、通関を通り帰りのスカイライナーに乗ったところで、現地スタッフのKからウィチャット(LINEのようなもの)が届いた。翌日、つまり3月12日に「飛行機が飛ぶことになった」とのことである。本来であれば歓喜すべきところだが、心身共に疲れ果てていた私は「良かった」と息をつくのが精一杯だった。

結局チャーター便は、大連から直接羽田(東京女子医大は東京なので羽田に着陸する予定になっていた)には飛ばず、青島を経由して羽田に飛ぶことになった。何故こんなことになったのか?正確には分からないが、聞いた様々な情報から考えられるのは、北朝鮮の存在・・・その頃北朝鮮は、日本海に向かってたびたびミサイル発射実験を行っていた。

通常、成田から大連への飛行ルートは一部北朝鮮の上空を通る。当然であるがチャーター便も同じルートを通ると思われる。しかし、普段運航している飛行機ならいざ知らず、通常のスケジュールに入っていない飛行機が上空を飛んだ際に、もしかしたら怪しい物体と勘違いされ最悪ミサイルが飛ばされる可能性がある。もしチャーター機が爆撃されたら当然最悪の事態であるが、仮にミサイルが当たらなかったとしても、発射しただけで、間違いなく国際問題に発展する。下手すると戦争になる。飛行機が飛ばない理由を聞いていた際に「外交上の問題で・・・」と確かに言っていた。後から考えれば「なるほど」ではあるが、その時は詐欺の口実としか捉えていなかったのでまともに聞いていなかった・・・。

地図をよく見てみると、先ほど書いたように大連から東京を直線で結ぶと北朝鮮上空を通るが、青島からだと通らない。実は、今回の移送計画は、国際的な問題をも巻き込んでいたのである。

移送を計画してくれた人たちは最悪の事態を避けるために必死に飛行ルートの検証をしてくれていたのであろう、その為に時間がかかっていた。「振込詐欺」だなんて疑ったのは本当に申し訳なかったと思う。けど、もう少し詳しい状況を教えてくれてもいいのに・・・とも正直思った。
2018.09.05 21:14 | 固定リンク | 社長のつぶやき

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