豊海小学校
2018.09.30
一昨年に施工を完了した、東京都中央区豊海小学校である。

写真をよく見てほしい。正面からみると、ほとんど縦格子の単純な門扉に見える。しかし斜めから見ると波模様が浮き出てくる。縦格子の形状を工夫することでこのようなデザインが可能となる。つまり門扉の前を歩いて通ると、一歩ずつ門扉の見え方、つまりデザインが変わってくる。

時々同じような見え方をするガードレールなどがあるが、これは二次元の世界の話。鋳物は3次元の世界であるため立体的であり、その変化する姿のダイナミズムが全くちがう。普通の絵本と、飛び出す絵本の違いに近い感覚であろうか。

鋳物と言うとデコラティブなデザインであったり、コテコテの唐草模様のデザインを想像する方も多いが、それは平面的な世界の話し。視点を変えると鋳物の面白い使い方が見えてくる。これはその事例のひとつであろう。

ちなみに、デザインの基本コンセプト設計は森雄児である。



2018.09.30 21:45 | 固定リンク | アートシーン
アルミ鋳物の表現
2018.09.09
日曜日はアートシーン

これはある場所のレリーフを製作した際に、現物見本として製作をしたものである。先日の「お魚さん」でもアルミ鋳物が使われているが、やはり、素材の特徴(そして、製造方法の特徴)をよく知らないと適切なアートを生み出すことは出来ない。

この写真には、アルミ鋳物独特の表現がすべて盛り込まれている。ベースの板にはテクスチャーを入れ、そこに少しふき取りを行うことで、凹凸感を際立たしている。「葉の形」は、凸部分に磨きをかけ全体から更に浮き出し強調されている。葉脈も少しだけ凸にし磨きをかけることでしっかりと存在感を強調、葉全体の立体感を更に強調している。いわゆるこの「いぶし」の表現により、何とも「秋らしい」イメージが感じられるのではないだろうか。

アルミ鋳物に限らず、素材と仕上げ方法をより理解をした上で、様々な建築やランドスケープを演出してほしいと思う。その為にはしっかりとその特徴を伝える努力を惜しまないようにしないといけない。是非鋳物という素晴らしい造形技術に対し、多くの方に興味を持っていただきたい。


2018.09.09 20:16 | 固定リンク | アートシーン
日曜日はアートシーン
2018.09.02
なんとも彫刻的な門扉である。

この門扉は木工の彫刻家具などを作っている田原良作先生が原型を制作し、それを鋳物にした門扉である。材質はアルミ鋳物。フレームは鉄で構成をしているが、前面にアルミ鋳物の縦格子が来ている関係でフレームが目立ちにくくなっている。そして、常に「木の素材感」と「素朴さ」を大事にする田原先さんの基本を、アルミ鋳物という金属素材に置き換わっても感じる取ることが出来る。

リズム感を大切にするのも田原さんの特長。左右の対照なフォルムがそのリズム感を演出している。柔らかく自然な曲線で構成されるバラスター(縦格子)一つ一つは木の枝のようにも見え、あるいは人の骨のイメージにも見える。前者の視点では「本人の優しい人柄」が滲み出ていると言えるし、後者の視点で言えば「生命感が湧き出ている」とも言える。見方によっては「官能的」とも言える。

決して大きいとは言えないが、木と鋳物の両方の良さを理解している田原さんの世界が見て取れる作品だといえる。ちなみに、田原先生は「川口総合文化センターリリアのロビーのベンチ」や、「医療センター壁面レリーフ」など川口市内の建築にも作品を残している。

2018.09.02 19:36 | 固定リンク | アートシーン
お魚さん
2018.08.26
日曜日はアートシーン

この壁面の装飾は、あるホテルの壁にかかっていた物である。海辺だったので魚をモチーフにした作家の作品であろう。白い壁に、なんともユーモラスな表情をしながら小魚たちが群れている様子は、非常にインパクトがある。そして部分的に尾びれと体が重なっている部分があり、レリーフ全体に奥行き感を出す工夫をしている。

製作方法はアルミ鋳造である。壁面に付けるので軽量化が求められるので当然の選択となる。そして表面をバフ研磨で磨きをかけている。この光沢を出すにはAC7Aという材質でないといけない。

拡大をした写真をよく見ると、目の部分や口の先は意外とラフな仕上がりになっている。実は丁寧に仕上げしぎると全体のエネルギーが失われ、レリーフ全体の強さと手作り感が失われてしまい、作品に勢いがなくなる。適度にラフな感じが実は味なのであるが、日本でこの感覚は伝わりにくい(手を抜いていると勘違いされる)。

今度、自宅用に一つ作ってみたいと思った。



2018.08.26 21:11 | 固定リンク | アートシーン
レオナール・フジタ
2018.08.19
レオナール・フジタこと藤田嗣治の没後50年を期して「藤田嗣治展」が東京都美術館で開催されている。

実は今から12年前に没後120年を期して東京国立近代美術館でやはり藤田展が開かれていた。その時私は観に行っており、「カフェ」のポスターを購入した。そのポスターは今でも家の壁に飾ってある。

藤田は1920年代にフランスのエコールド・パリ(パリ派)の活動に参加をしている。そこで独自の画風に磨きをかけていったようである。エコールド・パリの活動ではボヘミアン的生活が主であったらしく、自由な表現を追求する時代背景の表れなのであろう。

フランスに渡った藤田ではあるが、やはり根は日本人である。その画風には和の要素がにじみ出てくる。特に藤田の絵の特徴である「乳白色の肌」と「輪郭」を描く画法は当時のヨーロッパの画壇ではセンセーショナルであったはずだが、これは浮世絵からの影響であることは間違いない。そして影を強調することなく立体感を表現する方法も浮世絵から来ているのだと思われる。

また、藤田の画題は独特の表情の少女が有名であるが、同時に「猫」も有名である。この猫の動きはリアルでその描写と表情は本当に「見事」としかいいようがないが、そこには鳥獣戯画の影響があるように思えてならない。

晩年はフランスに帰化した藤田だが、日本をこよなく愛した画家である。開催中のポスターにはこのような文字が飾っている。「私は世界に日本人として生きたいと願う」。第二次世界大戦の時は戦争画家とし従軍をし、その時の絵も残している。このような藤田の思いを理解しつつ作品を見るとまた面白いはずである。

※開催中の藤田嗣治展のガイドブックは「株式会社本村様」で製本されていました。

2018.08.19 22:31 | 固定リンク | アートシーン

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