不思議なパターン
2018.07.01
日曜日はアートシーン

どこの場所かわかるだろうか。
ここは地元川口市の埼玉県産業技術総合センターの中にある、いわゆる「電波暗室」と言われているところである。電波の影響を受けない環境の中で実験をするときに使われるとのことである。

私はその方面の専門家でないため、部屋の機能の素晴らしさについては余りよく理解できなかった(すごい実験室であることは間違いないが・・・)が、それ以上に壁面の独特のパターンの連続があまりにも芸術的で感動をした。具体的には、壁からの突起物の迫りくる感じと、各突起物が作り出す陰影による立体感、そして見る角度によって様々な表情を見せる放射線状の造形、それぞれがとても印象的であった。きっと機能上このようになったのだとは思うが、機能的に突き詰めた物は、結果的に美しいものなのであろうか。もしかしたら、それを洗練と言うのかもしれない。若干飛躍的ではあるが、抽象芸術の魅力はそういうところになるのかもしれない。

2018.07.01 21:28 | 固定リンク | アートシーン
建設途中の地下鉄駅で・・・
2018.06.24
ぱっと見、皆さんは何の写真か理解できたであろうか。

これは、2017年6月14日の神田駅である。今、オリンピックに向けて地下鉄各駅の改修が進んでいるが、その時は、壁面改修のためにホームの向かい側の壁が剥き出しの状態になっていた。私はこれを見た瞬間、前衛作家のモダンアート壁画かと思った。それくらいのインパクトがあった。俗っぽく言えば「カッコいい!」と思ったのである。

荒々しさと同時にレトロ感と郷愁を感じさせる構成。大きさと連続性から迫り来る圧倒的なパワー。古い倉庫の扉を彷彿させる中央の白い部分が全体から浮き上がり、構成全体にインパクトと動きを与えている。

これを見たとき、ふと思い出したのがかつて見たことのある三岸節子氏の絵である。落ち着いた色調の中に、内面から湧き出てくる力強さをよく覚えている。

工事現場に偶然現れたアートを発見した時の興奮は、周囲の人たちが気づかない大きな宝物を発見した時の感情に似ている。



2018.06.24 21:06 | 固定リンク | アートシーン
前川小学校門扉
2018.06.17
川口市立前川小学校

昨年、前川小学校の建て替えに伴い、正門の制作をさせていただいた。

この門扉は、既存で今回の工事箇所の反対側に設置されている門扉と同じデザインで制作をすると言う課題があった。これは、「リバースエンジニアリング」と言われている方法で、すでにある現物から同じものを製作する技術である。文化財の復旧などにもその後術は使われている。モリチュウではかつて新宿区にある四谷見附橋の照明灯の復旧の仕事をしたことがあるが、それ以降事故破損等も含め様々なところで現物からの復旧の仕事をしている。

さて、前川小学校であるが、鋳物の特徴である造形性がしっかり発揮されている作品となっている。アルミ鋳物のパネル部分は、黒の塗装をした後に拭き取り仕上げをすることで凹凸を際立たせるとともに、アルミ鋳物の素材の色をしっかりと生かしている。フレームはステンレスで構成されている。構造上若干フレームの幅が広くなってしまっているところは残念ではあるが、アルミとの色合いもしっかりマッチしており、全体的にバランスが取れた門扉となっている。

ちなみにモリチュウでは、鋳物部分のみではなく、フレームやレール部分の製作にも対応している。



2018.06.17 21:41 | 固定リンク | アートシーン
「ハートの塔」
2018.06.10
見たことのある方も多いであろう。

品川駅東口のデッキの上から見える二本の柱。圧倒的存在感。
これは、東京芸術大学鋳金研究室のメンバーが2004年に製作をした「ハートの塔」である(本当のタイトルはハートマークが2つ付いている)。

デッキから見てもその大きさに圧倒されるが、地上から見上げ、歩行者と比較すると、そのスケールの大きさをさらに実感することができる。そして確かにモニュメント上部にはハート型が見て取れる。

ビルや電信柱など高いものは他にもあるが、その存在感を圧倒的にしているものはなんであろうか。それはきっと素材であろう。これは鋳鉄製である。近くで見ると表面にひっかき傷のようなものがあるが、これは鋳物でなくては表現できない。念のため言っておくが、これはキズではなく「デザイン」である。もしこれが磨き仕上げであれば軽々しくなってしまい、圧倒的存在は感じられないであろう。表面のデザインに加え、鋳物の錆が表情に深みを与えており、「人と人、人と街の共生」という永遠の願いを語りかけてくる(ちなみに私は鋳物の「錆びフェチ」である)。

ハートという軽いイメージのものを、重厚感のある鋳鉄で表現するギャップも面白い。いずれにしても、鋳鉄をここまで大胆に使ったモニュメントは珍しいのではないかと思う。




2018.06.10 11:49 | 固定リンク | アートシーン
日曜日はアートシーン
2018.06.03
先日、大阪に出張に行った際に見つけた透かしのレリーフ。

細かい網目の中でひと際目を引く美しいレリーフを見つけた。唐草の中に浮き立つ鳥は孔雀であろうか。孔雀は何と言っても、優雅で美しい。様々なところで抽象化されデザインのモチーフに使われている。そしてその美しさから、愛、美、幸福、富、繁栄の象徴とされている。その孔雀が左右シンメトリの唐草文様の中心にバランスよく溶け込んでいる。

材質は多分鍛鉄であろう。そして透かしのレリーフの本当の美しさは表からではなく内側から見たときに分かる。これはステンドグラスも一緒である。キリスト教の教会を外から見てもステンドの美しさは分からないが、内部から見るとその色彩の美しさに「はっ」と息を呑む…という経験をした方も多いと思う。

「このレリーフもきっと内側から見ると・・・」と思って見てみると、やはりそうであった。外側から見ただけでは分からない文様の美しさが浮き出てくる。そして何気なく配置されている網目とそれらをつなぐ構造部もしっかりデザインされていることが分かる。

このビルのオーナーがきっと「繁栄」を願って設計をしたのであろう・・・とその思いを作品から感じ取ることができた。




2018.06.03 11:50 | 固定リンク | アートシーン

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