ボンズさんのモニュメント
2018.07.29
このモニュメントは川口元同駅近くにあるシティデュオタワーに設置されている。

ここは叔父の故森行世が手掛けた再開発高層ビルであるが、叔父は必ず再開発される前の歴史(とき)を大事にしていた。そしてそのシンボルとして設置されるのが赤川さんの作品である。

赤川さんはその意図するところをしっかりと理解し、絶妙に作品に投影する。この作品もかつて鋳物工場であったこの場所に思いを馳せ、おじいちゃんが孫にその歴史を語り、孫がその意思を汲みながら新しい未来に向かっていく姿を表現している。そしておじいちゃんのポケットにはちゃんと小道具が仕込んである・・・というユーモアまで付いている。

歴史はそこに必ずあり、お金では買えない価値がある。建物はなくなっても、そこに流れた汗や感動やほろ苦い思い出は残る。そして新しく来た人たちにも、そんな歴史を少しだけ知ってほしい・・・。

こういう使命を担っているのが、ボンズさんのモニュメントなのである。なので「高い」とか「もっと安くできる」とか言われると、悲しくなる。Priceless・・・そういうことを理解してくれる人たちと仕事がしたい。

2018.07.29 19:04 | 固定リンク | アートシーン
パウル・クレーの絵を見て
2018.07.22
先日日本経済新聞の日曜版にパウル・クレーの絵が掲載されていた。

パウル・クレーはパステルカラーの柔らかい色調が多く、好きな画家の一人である。
この絵のタイトルは「バルトロ:復讐だ、おお!復讐だ!」で、モーツアルトのオペラを題材に描かれたとのこと(日本経済新聞より)。

声量豊かなオペラ歌手から放たれる豊かな声の広がりの描写とパステル調の色彩からは「復讐」というイメージは伝わってこない。オペラ歌手の描写そのものもどこかユーモラスだ。「復讐だ」と言っていながらも、実はその浅はかさに、嘲笑を加えているのではないか、さらに「復讐」という題材ではなく、「オペラを歌う歌手の姿」を題材にしていると考えれば、そのタイトルとは関係なく、純粋にオペラに対する感動を色彩に表しているのかもしれない。

絵画、特に抽象画は、見た目の第一印象、色の雰囲気や全体の構図などのバランス、あるいはアンバランスを楽しむ。そしてそれがなぜそのように描かれているか勝手に想像する。想像の糸口は、その時の書かれた画家の生活状況や精神的背景などが重な要素になる。

絵画を見ながら様々な事柄を想像し、思考を巡らせる。そこから思いもかけない発想に結びつくこともある。こんな勝手な想像をしながら思考遊びをするのが、印象派や抽象画の一つの楽しみ方であると、勝手に考えている。

まぁ、難しいことを考えるより、見ていて気持ちが良ければそれだけでいいのではあるが・・・。

2018.07.22 17:56 | 固定リンク | アートシーン
構造のアート
2018.07.08
日曜日はアートシーン

建物には必ず構造がある。柱とか梁がそれに該当するが、通常はそれをカバー材などで化粧することが多い。しかし。最近はそれをデザインし、敢えて見せるような建築が増えつつある。

構造で重要なのは、梁や柱の太さや材質であるが、同時に構造同士を結び付けるジョイント部分も重要である。そのジョイント部分をデザインすることで、隠すことが多い構造部分を建築の一部として「見せる」ことができる。見せるからには形状の自由さが求められるため、作り方としては「鋳造」が適している。同時に強度が必要なので材質は「鋼」同等レベルが求められる。これをクリヤーするのが「鋳鋼」というものである(鋳鋼についてはいずれどこかで書いてみたい)。

写真は、品川インターシティの内部構造部分である。上下の横梁をつなぐテンション部材(柱のようなもの)とジョイント部は十分にデザインをされており、それが連続すると更に美しさが増す。ここに機能とデザインの融合の好例がある。

ちなみに。モリチュウでは鋳鋼の対応は出来るがジョイント材の強度を検証するノウハウがない。もしそのような構造計算を出来る方がいれば是非ご紹介をしていただければと思います。



2018.07.08 20:29 | 固定リンク | アートシーン
不思議なパターン
2018.07.01
日曜日はアートシーン

どこの場所かわかるだろうか。
ここは地元川口市の埼玉県産業技術総合センターの中にある、いわゆる「電波暗室」と言われているところである。電波の影響を受けない環境の中で実験をするときに使われるとのことである。

私はその方面の専門家でないため、部屋の機能の素晴らしさについては余りよく理解できなかった(すごい実験室であることは間違いないが・・・)が、それ以上に壁面の独特のパターンの連続があまりにも芸術的で感動をした。具体的には、壁からの突起物の迫りくる感じと、各突起物が作り出す陰影による立体感、そして見る角度によって様々な表情を見せる放射線状の造形、それぞれがとても印象的であった。きっと機能上このようになったのだとは思うが、機能的に突き詰めた物は、結果的に美しいものなのであろうか。もしかしたら、それを洗練と言うのかもしれない。若干飛躍的ではあるが、抽象芸術の魅力はそういうところになるのかもしれない。

2018.07.01 21:28 | 固定リンク | アートシーン
建設途中の地下鉄駅で・・・
2018.06.24
ぱっと見、皆さんは何の写真か理解できたであろうか。

これは、2017年6月14日の神田駅である。今、オリンピックに向けて地下鉄各駅の改修が進んでいるが、その時は、壁面改修のためにホームの向かい側の壁が剥き出しの状態になっていた。私はこれを見た瞬間、前衛作家のモダンアート壁画かと思った。それくらいのインパクトがあった。俗っぽく言えば「カッコいい!」と思ったのである。

荒々しさと同時にレトロ感と郷愁を感じさせる構成。大きさと連続性から迫り来る圧倒的なパワー。古い倉庫の扉を彷彿させる中央の白い部分が全体から浮き上がり、構成全体にインパクトと動きを与えている。

これを見たとき、ふと思い出したのがかつて見たことのある三岸節子氏の絵である。落ち着いた色調の中に、内面から湧き出てくる力強さをよく覚えている。

工事現場に偶然現れたアートを発見した時の興奮は、周囲の人たちが気づかない大きな宝物を発見した時の感情に似ている。



2018.06.24 21:06 | 固定リンク | アートシーン

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