社長ブログ

2018.09.01

奇跡の社員(7)

「人喰いバクテリア」に侵されたHを日本に帰すことに決めたが、当然ながら普通の飛行機には乗れない。そしてドクターからも危険を侵して日本に帰すのであれば医者と看護師が付き添いであることが条件と言われた。

勿論そんな特別機をチャーターした経験はあるはずもなく、どこに頼んでよいか分からない。藁をもつかむ気持ちで連絡をしたのが大連にある日本領事館である。そしたらこのようなケースが他にあるのだろうか・・・即幾つかの会社を紹介してくれた。

その一つの会社に連絡をしたところ、すぐに営業担当者が病院に来てくれるとのこと。しばらく待つと、すぐその担当者がやってきた。その会社の簡単な紹介を聞くと同時に、こちらの状況を伝えた。その後見積を提出してくれるとのことで、その返答を待っていた。そしてメールで見積が届いたのであるが、その金額を見て、ある程度は覚悟をしていたものの、やはり一瞬ひるんでしまった・・・。しかしこれはすでに決めたことであるし、ネゴや見積比較が出来る時間もなく、同時に振込みの確認が無いと一切の段取りがスタートしない。なので、即指定された口座に振込みの準備をするよう会社に指示をした。だが、最後の段階でチャーター機を飛ばすことができる条件が一つ足りていななかった。

それは、「日本側での受け入れ病院がみつからない」ということである。医療専用機を飛ばすには、受け入れ病院が決まっている必要がある。そうでないと、日本に飛行機が到着してもその後の行き場がなくなる。日本の医療機関であればある程度受け入れが出来ると思っていたが、難しい病気であるため、どこの病院も患者の受け入れに消極的であった。そして、受け入れ病院がみつからないまま、また無為な時間が過ぎていった。